『イニシエーション・ラブ』乾くるみ ③

改めましてこんにちは(*- -)(*_ _)

さつきです。

 

前回の文章を読んでいかに自分の書いた文章が拙いものだったのかを痛感しました。

いやほんとにひどい。。。

人様に見せていいレベルをはるかに下回る出来で心が痛みました(笑) ひぇ~~。

これからはもう少し読みやすい文章を心掛けたいと思いますのでご容赦ください…。

 

 

 さて、長いことこの物語について語ってきましたがそれも今回で最後です。

今回のテーマはタイトル回収!

 

 

イニシエーション・ラブ

 

作品のタイトルにもなっているこの言葉は本編で美弥子が言っていたものです。

 

イニシエーション:通過儀礼

 

物語終盤。美弥子は鈴木に大学時代に付き合っていた天童の話をします。美弥子にとって、それは初めての恋愛であり初めての彼氏でした。自分はこの人以外の男性を好きにはならない。この人と結婚してこの人と子どもを産んで、この人と一生を添い遂げるんだ。なんて初心なことを思っていたそうです。初めて付き合った時ってそんな感じですよね。恋人が自分の全てで、その人さえいれば自分は幸せで…。当然のようにそんなことを思ってしまうんですよね。美弥子に言わせれば無知だっただけだそうですが、そのくらい好きになれたら素敵ですよね。

 

しかし肝心の天童の方はそんな美弥子の想いとは裏腹に、恋愛感情というものを一切抱かなかったようです。美弥子はそんな天童のことを「本気になってだれかを愛したことが無いんじゃないか」と語っていました。

 自分のことを好きになってくれない恋人。美弥子は彼と別れることを選択しました。

 

イニシエーションはその際の天童の言葉です。

「お前にとって俺はイニシエーションだったんだ」

 

美弥子は自分の隣を離れ、次のステップに進みます。天童はそれを受けて自分との交際は通過儀礼だったんだなと言いたかったのでしょうか。

 

個人的には天童も美弥子のことを好いてはいたのかなと思いました。というかそう思いたい。彼らの直接的な描写はほぼないので、勝手に想像しちゃっていいですよね(笑)

天童にとって美弥子は、恋愛的な好意はないが好感はあって、しかも自分に好意を寄せてくれる人間だったのでしょう。都合のいいと言えばそうですが、恐らく交際を望んだのは美弥子の方なので仕方ありませんよね。

そんな天童も自分へ向けられた好意を捨てられるのは虚しいようで、最後の言葉を残したのではないでしょうか。

なんていうか皮肉ですね。相手を大切にしなかった天童もしっかりダメージは負っているんですもん。加えて美弥子にとっては初彼氏。そりゃ上手く立ち回るなんて無理ですよ。

 

前回の話を混ぜるなら、天童は自分の中で変化を起こして美弥子を大切にしない「選択」をして、美弥子は初恋を捨てて自分を大切にしてくれる相手を探すことを「選択」した。といったところでしょうか。

その結果美弥子は次の彼氏に情緒不安定でDV男の辰也を選んだのは失敗だったと思いますが、それも美弥子の選択です。

 

 

イニシエーション・ラブ。世の中の何人が今の交際は通過儀礼と感じているのでしょうか。もっというと、世の中の何人が「この人とは一生を添い遂げることは無い」と思って交際しているのでしょうか。

 

きっと告白する瞬間は、大学時代の美弥子のように純粋な気持ちなんだと思います。

でも付き合ってみて「やっぱり無理」と思うことも少なくありません。僕としては、それでも誠実にお付き合いしようという辰也の考えよりは、変化を受け入れる美弥子の考えの方があっているみたいです。

実際問題、一生を添い遂げる相手は「恋人」ではなく「ずっと一緒にいられた人」なんですよね。その人が恋人だった時に一生を添い遂げるんですよ。恋人だからという理由でずっと一緒にいる必要はないんです。無理だったら別れればいい。それだけの話です。

 

 

なんか身も蓋もないことを言ってしまいましたね。

このまま話を終わらせるのは忍びないので少し注釈を添えると、無理だと思った相手でも、それでも一緒にいたいならそうすればいいんです。単純でしょう?

自分の価値観・感情に融通を利かせて相手の「無理」な価値観に寄り添う。その努力をする。それだけです。

僕なら自分だけが寄り添うのはフェアじゃないので相手にも変化を求めますがね。自分が必至こいて相手が何も感じないなんて馬鹿馬鹿しいじゃないですか。逆に相手に変化を求めるからには自分も変化をする。その努力を惜しまない。って「選択」をするでしょうね。

その結果、それでも無理なら仕方ありません。頑張っても無理だった。それならもう無理です。その結論を出すのが自分でも相手でも構いません。悲しくならないわけありませんがね。

 

お互い、合わなかったならどうしようもないんです。

自分に合う誰かはその人以外にいて、その人に合う誰かは自分以外だったんだと諦めるしかないんですよ。

 

初めからイニシエーション・ラブのつもりで恋愛してる人なんていません。少なくとも僕はそうです。付き合って、その中で学んで最悪別れたら、それがイニシエーション・ラブになるのかもしれないということなんだと思います。

天童ももちろん美弥子がそんなつもりで付き合ったなんて思っていなかったでしょう。もう別れる。それは決定事項だと悟ったからあんなことを言ったんでしょうね。

 

 

最後に

 

この物語について沢山のことを考えました。

過去の恋愛のこと未来の恋愛のこと、そして今の恋愛のこと。

僕の中には様々な選択肢があって、それを選ぶのは他でもない自分自身。

自分が変化する以上「絶対」なんてものはなく、確かなものは「今」しかない。

鈴木も言っていたこの言葉は僕を少しだけ不安にさせました。

僕は一体これからどんな選択をするのでしょうか。

どんな恋愛をするのでしょうか。

結論は、まだ出さないでおきます。

だってそれすらも「イニシエーション」なんですから。